こんにちわ。

イリノイツールワークスという企業の紹介記事で日本法人もありますが、あまり馴染みのない方も多いかと思います。

測定器のブルックスインストゥルメント、切断、研磨機のビューラーという機械品の取り扱いを行っており、日本では製造販売、輸出入、保守サービスがメインとなっているようです。

イリノイツールワークス(ITW)

設立は1912年つまり107年目にして、時価総額473億、多国籍展開しているの超巨大企業。

その名の通り、イリノイ州に本社を置く機械、工業製品メーカーです。

実態は自動車部品、食品機器、テスト測定機器、工業用接着剤、工具、溶接機器、建設などなんでも扱うコングロマリット企業となっています。

グローバルな多様化メーカーであり、収益の半分以上は米国ですが、その事業範囲は57カ国にも及びます。

徹底した顧客中心のビジネスで、17,000件を越える特許を保持し、7つの事業セグメントは、ほぼ個別に独立採算制を取っています。

買収を繰り返し戦略的市場に事業を集中させながら、統廃合を繰り返すことで洗練され、収益率の高い強固なセクターへと成長を続けている稀有な企業です。

実は、80/20という企業哲学があり、最も収益性の高い製品と顧客に焦点を当て続けるというビジネスモデルを徹底し30年続いています。企業の売り上げの80%は主張顧客に販売されている製品の20%という意味なのだそうです。

連続配当は55年の配当貴族です。


itw-chart


米中貿易戦争の煽りを受けて、4月から株価はボラってますが、緩やかにサポートラインが上昇しているのが見て取れるかと思います。

配当性向の高さ

株主視点だと、この数字は外せません。

配当(ドル)
2013年0.42
2014年0.485
2015年0.55
2016年0.65
2017年0.78
2018年1.00
2019年1.07


55年という配当王ですが、この配当性向の高さ。実に56.1%にも及びます。

つまり直近5年間だけで、2倍以上に増加しており、急激に配当による株主還元へ舵を切っています。

年次予測には打ち勝っているものの、2019年は、やや収益の減少が見受けられ下方修正を実施しています。それでも、今年の3Qには新たに増配が実施されました。

ココまで還元に積極的な理由は何なのでしょうか。

成長性

それでは、いつものやつですね。

ROE(自己資本利益率):75.40% > 20%
EPS(1株利益):12.40% > 5%
EPSNextY(来年EPS成長率):6.44% > 5%
EPSNext5Y(来5年EPS成長率):4.07% < 5%
EPSPast5Y(過5年EPS成長率):15.90% > 5%
Current Ratio(流動比率):2.90 > 1.0
Gross Margin(粗利益):41.80% > 30%
Operating Margin(営業利益):24.1% > 15%
Profit Margin(純利益):17.2% > 10%

配当は、現時点で2.85%程度で1.07ドルとなっています。

2018年までは、各セクターでの20%を超える収益がありましたが、為替の影響や、米中貿易戦争による、不確実性、不透明な先行きや、商品インフレが加熱したことにより収益利に減速が目立ち始めています。

加えてリストラ費用の増加、実効税率の上昇なども存在しており、今後のビジネスに困難にする要因になっている模様。


事実、溶接、食品機器事業はでは微増となりましたが、やはり米国内メインの自動車部門セクターは、同社内で最も弱いセクターとなっています。

大本営発表では、年内後半の安定した需要の増加があり、改善すると強調していますので、実際の成長率に関しては注視が必要となりそうですね。


にも拘らず、ここまでの高い配当を実現させているのは、75%の自己資本比率と、20%超というフリーキャッシュフローの強さがあるからに他なりません。

財務体制にはまだ成長余裕があり、自社株買いを繰り返し価値を高め続けているからこそ、株主からの投資を呼び込むサイクルを実現できていると言えます。

まとめ

工具関連は、スタンレー・ブラック&デッカーに大きく離されており、しばらく工具に関しては、この企業の一社独占が続くのかな、と思ってたりします。

競合には3M、ドーバー、ダナハー、GEがあり、特に3Mとはモロかぶりのセクターだけに、共倒れとなっている点が否めません。

驚異的な収益性、キャッシュフローの強さなどは、競合他社コングロマリットに比べて非常に良い数字であり同社の堅牢さを示す指標となります。


しかし、コングロマリット業態は、近年急速に勢いを失っていることも確かです。

3Mもその低すぎる収益性が露呈し、150ドルを割る勢いで、下落に歯止めが利かない期間が続いています。

特にコングロマリットの場合、建て直しには経営陣の刷新や、赤字部署の切り離しと言った抜本的改革で大きく構造を変えていく必要があり、回復には時間がかかるため、高配当成長、巨大企業の数字の裏に潜むリスクを考慮して検討されることをオススメします。


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